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正月に見た映画「デューン/砂の惑星」

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1984年・アメリカ・監督:デヴィッド リンチ

正月のテレビ番組は、箱根駅伝以外全く興味が無かったので、何本かのDVDを見ることになった。中でも強烈だったのが「デューン/砂の惑星」。幼い頃レンタルビデオで一度見たうすい記憶の中にあるのは、難解なストーリーと、グロいセットやキャラクター、主人公が身につけていた半透明で、やたら直方体の鎧(?)のような物。とにかく、もの凄く引っかかるなにかを俺の中に残していったこの映画。
大人になって、物の見方や考え方が多少建設的になったので、あの頃とはいい意味で違う作品に見えるのではと思いTSUTAYAのSFコーナーをちんたら歩きながら、あきらかに前向きな姿勢でDVDケースを手に取った。
 鑑賞を終え、やっぱり俺は得体の知れない喪失感に襲われた。まるで、広い宇宙に俺の部屋だけが行く当てもなく漂っているような感覚。このまま死ぬんじゃねーかと。いや、永遠にこの部屋のなかで誰にも気付かれず生き続けるんじゃねーかと。
 なぜ、こんな感情が沸いてくるのか。その原因として考えられるのは、まず半ば強引とも思える速いストーリー展開。もともと原作は小説6部作にも及ぶ壮大なストーリーで、映画という尺では全てを表現するのは不可能といわれ、その当時何人かの映画監督が映画化を挫折したなかで、デヴィッドリンチ監督だけが映画化した。話や登場人物、セットなどが全体的に薄暗い雰囲気のなかで「アルマゲドン」や「インディペンデンス・デイ」以上の速い展開。薄暗い中で、ごそごそ何かが蠢いている画面をずっと見続けていたような感覚。これは落ちる。
次に、グロテスクなセットとキャラクター設定。悪側の皇帝シャダム家とハルコネン家はさることながら、善側のアトレイデス家もモーレツに陰な雰囲気を醸しだしている。考えれば当然のことだった。なにせ監督が「エレファントマン」、「ツインピークス」を生んだデヴィッド リンチ。明快な雰囲気であるはずがない。さらに、この感情に追い打ちをかけたのが、主人公ポール・アトレイデス(カイル・マクラクラン)の悪に対する無慈悲さ。宇宙最強の力を手にし、伝説の救世主「クイザック・ハデラッハ」となった正義の主人公ポールに、「皆殺しだー!」なんて叫ばれては、どちらが正義でどちらが悪なのか分からなくなる。あまりに残虐で残酷。敵側最後の生き残り、ハルコネン家のファイド(スティング)がポールの仕掛けた半ば強引な一騎打ちの末に、喉から頭頂部へむけてナイフで串刺しされ絶命した後、歓喜の内に幕が下りる一連のラストシーンは、トラウマとなって俺の中に生き続けるだろう。

ここまで書いておいて言うのもなんだけど、俺は決してこの映画がつまらないとは思っていない。むしろ面白かった。得体の知れない美しささえ感じた。切なくて儚いものを見たときの感動。もしリンチ監督がこれを目指していたのなら、俺はまんまとはめられてしまったわけだ。
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by k_sakamoto12 | 2008-01-10 21:20